日本簿記学会
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会長メッセージ
平成24年9月3日
神戸大学教授 中野 常男

  第30回全国大会の際の役員選挙により,(故)新井益太郎初代会長から数えて10代目の会長に選出されました。新田忠誓前会長と同様に,本学会設立時の発起人以外から選ばれた会長ということになります。日本簿記学会も,発起人世代の方々が徐々に学会活動から退かれ,役員を含めて,新しい世代に入ったと言えます。私自身は,このような世代交代の波の中で,本学会の設立を主導された先輩の方々の「志」をより若い世代に引き継いでいくという責任に身の引き締まる思いです。

 第30回全国大会の会員総会の冒頭で準備委員長としてご挨拶したときにも言及させていただきましたが,本学会の英文名称は“The Japan Boki Association”と表記されます。通例であれば,邦語の「簿記」は英語に機械的に置き換えられて“bookkeeping”と訳されますが,本学会では英文名称をそのように表記せず,ローマ字を用いて“boki”としています。このことに奇異の感を持たれる方がおられるかもわかりません。しかし,かかる英文名称に対するこだわりには,1872年の「学制」公布以後,今日に至るまでのわが国の教育制度における「簿記」という学科目の独自的発展を背景として,「簿記」という邦語に含められたニュアンスは,英語の“bookkeeping”では伝えることができないという考えがあり,したがって,敢えて“boki”というローマ字表記を用いられたところに,本学会を設立された先輩の方々の「簿記」に対する強い想いが象徴的に現れていると考えられます。そして,そのことが,本学会を他の会計系の学会から区別する独自のアイデンティティを形成していると思われます。

 本学会の設立趣意(ホームページ参照)の冒頭には,「簿記学は会計学の部分領域というよりも,その基底的な学問領域である。・・・その基底にある記録計算技術としての簿記に対する研究および教育の現状は必ずしも十全とはいえない状況にある。」と記されています。このような認識の下で,本学会は1985年に設立され,2014年には第30回の全国大会・地域部会を開催するまでに至りました。慶賀に堪えないところではありますが,しかし,学会設立後の展開からは,その設立の趣意に反して,「簿記離れ」がますます進行していることが看取されます。教育界では,大学,特に商学・経営学・経済学系の学部において,かつては「簿記」が必修科目とされていたものが選択科目化され,計算問題を解く煩雑さから学生は自主的な習得を敬遠し,上掲の学部の学生が簿記の十分な知識をもって社会に出て行く可能性も相対的に減少しているように思われます。また,少子化の影響もありますが,多くの商業高等学校が統廃合されています。さらに,実務界では,「簿記」は資格試験に合格すればそれでよしとして,資格取得後の継続研修の対象にならないとする専門職業人団体が存在しますが,果たしてそのような認識でよいのでしょうか。

本学会は,アカデミック指向の通常の学会と異なり,簿記に関心を持つ研究者,教育者および実務家などを会員とする(会則第4条)「開かれた学会」です。このことは,他の会計系の学会と比べての本学会の大きな特色であります。このような特色を活かし,「簿記の理論,実務および教育などの振興をはかり・・・」とする本学会の設立趣意に沿う形で,全国大会や地域部会,研究部会のさらなる活性化に取り組み,また,『勘定科目・仕訳事典』の刊行など,新田前会長の下で実施された施策を継承・拡充することにより,「簿記」に対する社会的認識の改善に向けた啓発・啓蒙に努めたいと考えております。この点について,役員の方々にはノブレス・オブリージュの精神の下で積極的に行動していただくとともに,会員の皆様方からのご支援とご協力をお願い申し上げる次第です。


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