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行為の経営学

経営学における意図せざる結果の探究

行為の経営学
著者 沼上 幹
ジャンル 経営-経営学
出版年月日 2000/03/06
ISBN 9784561151265
判型・ページ数 A5・296ページ
定価 3,630円(本体3,300円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

アメリカ経営学の強い影響を受けた実証主義経営学と解釈学的な色彩の強いアンチオーソドクシーが互いに対話不可能な状態に陥っている日本の経営学。本書は,両者の対話可能性を確保できる経営学研究スタンスを提示。

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目次

まえがき
謝  辞

第1章 問題意識

 1.経営学における対話不可能状態
  (1)変数システムという立場
  (2)変数システムという立場の具体例
  (3)主観主義的立場―意味・解釈の重視―
  (4)対話不可能状態
 2.経営学における〈意図せざる結果〉の探究
  (1)〈意図せざる結果〉
  (2)組織環境の定義
 3.本書の構成

第2章 2つの環境観
    ―〈行為のシステム〉と〈変数のシステム〉―
 
 1.はじめに―2つの理念型―
 2.〈行為のシステム〉としての環境記述
 3.〈変数のシステム〉としての環境記述
  (1)ダンカン―知覚された不確実性―
  (2)アストン研究
 4.経営戦略論における行為システム記述と変数システム記述
  (1)変数システム記述―ポーターの業界の構造分析
  (2)行為システム記述―シナリオ分析
 5.行為システム記述から変数システム記述へ
  (1)支配的な環境記述様式の変遷
  (2)正統派に見られる行為システム記述
  (3)変数システム記述の進展
  (4)反正統派としての行為システム記述
 6.要約

第3章 法則定立的アプローチの進展
    ―メカニズム解明モデルとカヴァー法則モデル―
 
 1.事例研究法批判―表層的な変化の動因―
 2.システム観の単純化
 3.法則定立的アプローチ
   ―カヴァー法則モデルとメカニズム解明モデル―
 4.行為システム記述の失脚
 5.不変のカヴァー法則という信念
 6.要約

第4章 経営学における不変法則確立の可能性

 1.はじめに
 2.行為によって生成されるマクロ現象の規則性
 3.意図の上では合理的な行為と法則に支配された行動
  (1)法則に支配された行動
  (2)合理的な行為による再生産
 4.「不変の法則」の確立可能性
   ―ゲームの構造が既知の場合―
  (1)二重の解釈学
  (2)支配均衡が存在する場合―囚人のジレンマ・ゲーム―
  (3)支配均衡の存在しない場合(1)―チキン・ゲーム―
  (4)支配均衡の存在しない場合(2)―調整ゲーム―
 5.経営学の実証研究が抱える問題
   ―ゲームの構造が分からない場合―
 6.社会現象における規則性
 7.要約

第5章 行為システム記述の復権に向かって
    ―〈読み〉の解釈と時間展開を伴う合成―

 1.行為システム記述の復権
 2.行為システム記述の研究指針
  (1)超合理的な行為者による説明法―陰謀説―
  (2)〈意図せざる結果〉の探究(1)―共感と集計―
  (3)〈意図せざる結果〉の探究(2)―解釈-合成による説明―
 3.要約と結論

第6章 説明法の事例研究
    ―〈柔軟性の罠〉の説明原理―

 1.取引システムの柔軟性と技術転換への適応力
 2.経験的研究の2つのアジェンダ
 3.記述―反証事例の確認
  (1)事例の概要
  (2)技術転換のタイミング
  (3)取引システムの柔軟性
  (4)要約
 4.解釈と合成
  (1)当事者たちの直面した技術の選択肢
  (2)技術進化シナリオ
  (3)ウオッチ・メーカーの戦略
  (4)生成される技術進化戦略
  (5)超合理的な企業
 5.基本論理構造の整理
  (1)柔軟性の罠の直接的な含意
  (2)基本的な論理の構造
  (3)変数システム記述と行為システム記述

第7章 間接経営戦略
    ―行為システム記述の
      戦略論に対するインプリケーション―

 1.事業成功の論理
 2.間接的アプローチ
 3.経営戦略における間接性
 4.間接性の事例研究―モスフードサービスの企業成長―
  (1)教科書的解釈
  (2)残された疑問
  (3)解釈と合成による説明―間接性への注目―
 5.間接性の基本論理
  (1)経営資源の論理
  (2)知識生成環境の論理
  (3)組織慣性の論理
  (4)環境メカニズムの論理
 6.間接思考へ向かって

第8章 行為の経営学
    ―反省的対話の促進に向かって―

 1.行為システム観と変数システム観
  (1)議論の整理
  (2)残された課題
 2.反省的対話
  (1)反省的実践家
  (2)〈意図せざる結果〉を探究する意義
 3.変数システム観の罠
  (1)決定論的社会観
  (2)時間圧縮
 4.結びに代えて
   ―経営学教育に対するインプリケーション―

参考文献
索  引

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