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経営と国境

経営と国境
著者 伊丹 敬之
ジャンル 経営-国際経営
出版年月日 2004/01/26
ISBN 9784561223986
判型・ページ数 4-6・296ページ
定価 1,572円(本体1,429円+税)
在庫 在庫あり
 

内容説明

企業の国際化に伴って生じる本質的問題とは何か。本書では〈引き裂かれ〉〈複雑さ〉という2つの思考軸からこの問題を読み解く。安全保障という視野まで含め,日本企業に必要とされるマネジメントの「意味」に照射。

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目次

はしがき

第1部 日本企業の国際化を振り返る

第1章 日本企業はいかに国境を越えてきたか
 第1節 巨大な輸出の伸びと貿易黒字
  ・最初に国境を越えるモノ
  ・輸出の「集中」と貿易摩擦
  ・カネの動きがもたらした世界最大の債権国
 第2節 拡大する直接投資と海外生産活動
  ・円高が加速した直接投資
  ・拡大する海外生産と現地法人による日本との輸出入

 第3節 空洞化はまだ起きていない
  ・海外生産のネットインパクトはプラス
  ・国内雇用の滅少,設備投資の海外志向
  ・ドーナッツ型空洞化ではなく,ピザ型拡大

 第4節 九○年代のアジアンネットワーキングと北米現地生産
  ・アジアンネットワーキングと北米現地生産
  ・「オフショア生産」でなく,「現地生産」
  ・第二の円高

第2章 世界の構遣の中の国際化
 第1節 第二次世界大戦後の世界と日本
  ・ゴールデンイヤーズと危機の七○年代
  ・転換の八○年代,グローバリゼーションの九○年代
  ・「安定」の受益者としての日本
 第2節 価格のゆがみと変動に振り回される日本
  ・ゆがむ為替,貿易黒字,そしてバブル
  ・産業の政治化による価格のゆがみ
  ・暴力措置どしての価格メカニズム
  ・不透明な九○年代
 第3節 六年サイクルの国際的ショック
  ・不思議な六年サイクル
  ・国際価格体系の大変動
  ・二つの大きな転換点
 
第3部 内なる国境─内部組織の経営

第5章 国際化プレミアムの支払
 第1節 二つの国際化プレミアム
  ・複雑さプレミアムと引き裂かれプレミアム
 第2節 多様なプレミアム支払い
  ・働く人々ヘのプレミアム支払い
  ・地域社会へのプレミアム支払い
  ・国内でも支払われるプレミアム
  ・個人が支払うプレミアム
 第3節 プレミアム支払いのマネジメント
  ・支払いのむづかしさ
  ・支払いマネジメントの基本的考え方
  ・正確な自画像

第6章 現地化と新たな摩擦
 第1節 現地化と引き裂かれ
  ・なぜ現地化か
  ・引き裂かれへの対応としての現地化
  ・国内問題に転化される対立・葛藤
 第2節 現地化が生む,次なる摩擦
  ・問題は所得機会の大きさ
  ・最終組み立ての現地化への不満
  ・現地化プロセスの摩擦再生産サイクル
  ・ホンダとトヨタの成功の論理
  ・さらなる現地化への要請

 第3節 所得摩擦から文化摩擦
  ・組織内文化摩擦という引き裂かれ
  ・企業行動と摩擦との関係
  ・経済論理のみの危険性

 第4節 企業買収型直接投資と文化摩擦
  ・資源利用型直接投資の増加
  ・所得摩擦は大きな問題ではない
  ・企業買収が生む文化摩擦
  ・さらに生まれる摩擦の種


第7章 世界的統合
 第1節 世界的統合と所得摩擦
  ・世界的統合は,グローカルに
  ・世界的な統合のメリットとむづかしさ
  ・企業内での所得摩擦
  ・所得摩擦をどう解決するか

 第2節 より深刻な企業内文化摩擦
  ・出身共同体を引きずった企業内文化摩擦
  ・経営スタイルの摩擦
  ・支配と所属の感覚から生まれる摩擦
 第3節 複雑さと引き裂かれへの同時対応:「場」の共有
  ・複雑さへの対応としての情報共有と自律分散的決定
  ・引き裂かれへの対応としての共同体意識
  ・共同体意識と情報共有の背後の「場」
  ・想像の共同体
  ・「新聞」と「旅」の重要性
 第4節 日本企業の可能性
  ・障害は日本側にある
  ・日本企業にできるのか

第4部 外なる国境─外部環境への適応

第8章 経営の政治化
 第1節 経営の政治化とは
  ・異なった政治のマネジメント
  ・企業行動と政治の双方向の関係
 第2節 なぜ経営の攻治化か
  ・引き裂かれと国家主権の後退
  ・グローバリゼーションヘの反発とナショナリズム
  ・日本は?
  ・狭くなった地球が,かえってボーダーフルにする
 第3節 経営の政治化への対応
  ・「政治問題の回避」では済まない
  ・政治的感受性の大切さ,政経密着の必要性
  ・地域発展への貢献─引き裂かれを小さくする
  ・政治的味方を現地につくる
第9章 企業活動の安全保障
 第1節 企業活動の安全保障とは
  ・強制力による安全の侵害
  ・日本政府の役割,日本企業の役割
 第2節 安全の値段は高くなっている
  ・国家安全保障問題の徴妙な影
  ・日本の立場の弱さ
  ・産業構造的な脆弱性
  ・価格のゆがみゆえの安全の値段の高まり 
 第3節 安全保障問題への対応:何が企業にできるのか
  ・三つの鍵─抑止力,協力者,分散
  ・国際分業による相互依存
  ・東アジア経済への貢献と国家の総合安全保障
  ・経営の政治化の象徴としての安全保障問題

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