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内容説明

イノベーションは日本では技術革新と同義に扱われることが多い。しかし、もともとは、必ずしも技術的に新しくなくても、組織やマーケティングのあり方を変えることなどにより、新しい仕組みや製品を作り上げることを指す。イノベーションという概念を最初に提唱したシュンペーターも「新結合」という言葉も用いている。

また、イノベーションは日本だけでなく世界的に、経済成長を実現したり、社会をより良くしていく上で極めて重要であり、その創出を促進することは、人類にとっての課題と言っても過言ではない。

本書は、寡作ながらイノベーションの研究で知られた学者の最新作であり、本書において消費者は、自分の自由時間を使って無償のイノベーション、すなわち「フリーイノベーション」を行っていると指摘する。さらに、インターネットがこのように普及した今日、これまでの、企業によって取り組まれていたイノベーション(「供給側イノベーション」)に加え、それを補完し、相互作用を持つフリーイノベーションが重要であると説く。加えて、供給側イノベーション・フリーイノベーションの間の差異を明らかにしながら、あるべき役割の分担やフリーイノベーションをめぐる法体系や政策のあり方、さらに拡げて、2次創作のような一般の人々による創造的活動をいかに経済統計で把握できるようにするか、まで論じている。

監修・訳の鷲田は、このようなフリーイノベーションは日本人には、江戸時代以来、すでに日常生活の中に深く浸透しており「ものづくり」の精神として根付いている、と指摘する一方、産業革命以降、ものづくりの主役が供給側にあると刷り込まれてしまっている、と言う。これまでの経済学で扱えなかったこのような活動を、「創意工夫余剰」という概念を導入し位置づけようとする本書は、新しい思考的挑戦への萌芽であるとともに、今後の世界のあり方を変え得るインパクトを持っている。

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目次

第1章 フリーイノベーションとは
第2章 フリーイノベーションの根拠
第3章 フリーイノベーションの生存領域
第4章 フリーイノベーションによる開拓
第5章 普及不足なフリーイノベーション
第6章 フリーイノベーターと企業との分業
第7章 企業とフリーイノベーターを繋ぐループ
第8章 より広い視点でみる
第9章 成功するフリーイノベーターの性格特性
第10章 フリーイノベーターの法的権利をどう守るか
第11章 フリーイノベーションの研究と実践は次の段階へ

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