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都議会議員 音喜多 駿氏への『ビッグデータから見える韓国』インタビュー

日本でネットをもっとも有効に活用して政治活動をしていると言って過言でない政治家、音喜多駿氏(都議会議員)。ネットが政治、また政治活動にも大きな影響を与えている様子などを統計的に描き出した『ビッグデータから見える韓国 政治と既存メディア・SNSのダイナミズムが織りなす社会』で扱われているテーマが、音喜多氏の問題意識、また政治活動手法に関連していると思い、公務で大変お忙しい中、メールインタビューでこの本の書評をお願いしました。

─── この本をお読みいただいての第一印象はいかがでしたか?

 情報化社会の進展に伴って「ビッグデータ」の活用が叫ばれてだいぶ経ちますが、日本ではビッグデータどころか、その基本となるITインフラも政治・行政で活用されているとは言いにくいのが現状です。そのため、ネットに飛び交う用語や報道内容から政治を分析するような研究は進んでいないのですが、そうした中で隣国である韓国の先行研究を記した本書はとても参考になりました。

─── 具体的な内容についてもお聞かせください。

 前半は、各議員の国会における投票行動をビッグデータ解析し、いわゆる「保守・リベラル」のどちらに寄っているのかを明らかにしています。この結果から、普段の政治的言動との言行不一致や矛盾、あるいは広報戦略が明らかになっている点、興味深く読みました。しかし、党議拘束が厳しい日本では同様の分析をするのは残念ながら難しいのではないかと思いました。

 後半は、メディア報道の内容や、あるいはTwitterを中心としたSNSで飛び交った言葉と、韓国の政局がどのように連動していたのかを解析しています。第7章で取り上げられている、市民にとって身近な特定イシューがアジェンダに設定され、大きな「うねり」となって政治的領域に反映されていく過程などは、まさに、韓国のみならず世界的に起こっている事象で、日本でも、今後の政治はこのような動きにまで目を光らせていく必要があると思います。

 さらに、ビッグデータによる解析で、韓国でも、深刻な世代間対立が存在することを浮き彫りにしています。本書でも取り上げられている、韓国のネット社会に飛び交う「ヘル朝鮮」のような世代独特の言語は、そのまま時代の価値観を反映しているもので、わが国でも、生み出される言葉を「流行語大賞」のようなキャンペーンで終わらせるのではなく、定量的な分析をして政治が取り組むべき課題として注目すべきと思います。従来のようなアンケートやフィールドワークではなく、自然に発せられている情報を解析して世相を読み解くビッグデータ解析は興味深く、わが国においても早晩、同様の研究が注目を集めることは間違いないでしょう。

 また、ネットを中心とする情報化社会の進展が、選挙にも大きな影響を与えていることも見過ごすことはできません。第5章では、イメージ戦略として選挙において多くの政治家がSNSを利用する例が挙げられていますが、日本でもFacebookやTwitterに留まらず、イメージを喚起しやすい画像に特化したInstagramを選挙期間中に活用する政治家も増えてきています。もちろんSNSを積極的に使うことにはリスクもあり、ネガティブなワードに引きずられて、イメージダウンにつながる恐れもあります。

 例えば、日本では詳細な分析はないものの、先の衆院選では小池百合子東京都知事が発した「排除」という言葉は、かなりインパクトをもったバズワードとしてオンライン上を飛び交い、これは結果として衆院選に大きな影響を及ぼしたと考えられます。一方で、本書の「知名度こそが勝利の鍵」の項でコーヒーチェーン店の売上がオンライン上での言及量と比例していることに触れられている通り、選挙の世界には「悪名は無名に勝る」という言葉があります。まず知名度がなければ、勝負の土俵にすら立てないのです。こうした点から、リスクはあっても選挙・政治活動においては、オンライン上での「バズ」を狙いに行く傾向が日本でも増えていくことになると思います。

─── ありがとうございます。最後に改めて、通してのご感想をお聞かせください。

 本書は韓国の政党や政治家名など、日本人にとって馴染みが薄く読み進めづらい部分もありましたが、韓国の政治事情そのものを理解することにも役立ちます。日本以上に情報化が進展する韓国の事例は、今後の日本政治を見つめる指針の一つになるでしょう。

(2017年12月18日公開)

音喜多駿(おときた しゅん)
東京都議会議員(北区選出)34 歳 1983 年東京都北区生まれ。

早稲田大学政治経済学部を卒業後、 LVMH モエヘネシー・ルイヴィトングループで7 年間のビジネス経験を経て、議員の道へ。

東京都議会議員二期目。都民ファーストの会東京都議団初代幹事長を務めた後、離党をして現在は無所属。

ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。 都政の専門家として、ニュースやワイドショーにも多数出演。

著書に「東京都の闇を暴く」、「ギャル男でもわかる政治の話」がある。

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