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ロナルド・H・コースの経済学

内容説明

新制度派経済学は、制度の役割を経済学の考え方を用いて分析し、制度そのものだけでなく、それが形づくる企業や組織、また社会や国家を研究の対象とする。故青木昌彦氏の研究もその一つとして著名であり、また「法と経済学」とも呼ばれ、法学からも強い関心を持たれている。

ロナルド・コースは、この研究方法論の嚆矢となった一人であり、「取引コスト」の概念を提示し、ミクロ経済学における企業理論を大きく発展させた他、環境問題における汚染発生者と被害者の負担の分析を大きく発展させた「コースの定理」などが業績として良く知られており、1991年にノーベル経済学賞を受賞している。

本書は、コースの研究成果について体系的に解説することを目指し、彼の最も重要な貢献と彼の分析の中心的なテーマに焦点を合わせている。その中には企業の本質、価格決定と費用の分析、外部性の分析、政府の役割と経済的な分析が含まれ、本書の最終章では経済学におけるコースの遺産についての評価を試みる。

これまでの経済学が、取引費用ゼロの理想的な世界の分析に終始(「黒板経済学」)し、現実世界をとらえることができていない、というアイデアを起点にしたコースの理論は、私たちの経済、ひいては社会を理解する上で貴重な知見を提供、またあまり知られていない人物像を窺い知ることができるエピソードも興味深く、彼の業績を体系的に理解できる新制度派経済学の入門書。

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目次

第1章 長旅の道標
第2章 企業の本質
第3章 価格形成、会計および費用
第4章 社会的費用の問題
第5章 政府と市場
第6章 経済学に対するコースの見方
第7章 経済思想史におけるロナルド・コースの位置づけ

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